「んっ、は・・っ、んぅ・・・・」
くちゅ、ちゅ、と響く軽い水音に鼻に掛かった甘い吐息が絡む。
寝室に行くのももどかしくリビングで彼を下ろし座った本多の下肢を大きく脚を開いて跨ぎ、
救い上げるようにその顔を手で固定して御堂は深く深く口付ける。
自ら求めるその態度は初めて見るもので、本多の欲望は留まる所を知らず昂ぶっていく。
「ふ・・・ん、っ・・は・ぁ・・・っ」
熱い舌が本多の口内を愛撫し、唾液を絡ませながら舌を刺激してくる。
薄く開かれた深紫の瞳はうっとりと蕩け、目元は桜を溶かしたような朱を帯びて色めかしい。
キスを御堂の主導に任せたまま、本多は己を跨いだ御堂の脚に手を這わせた。
むき出しの白肌は欲を帯びて熱く、吸い付くような感触で本多を誘う。
弱い足の付け根近くの内股を愛撫すれば、夢中で口付ける御堂の身体がふるりと震えた。
「ふ、ぁっ・・・んんっ、ん・・・は・・っ」
ゆっくりと手を移動させて、羽織っただけのシャツに滑り込ませる。
撫で上げた腰の細さに欲情する本多を知っているように、腰骨の窪みを刺激された御堂が淫らに腰を揺らめかせた。
きゅ、と本多の髪を握った御堂の指は思い立ったように下に降りて本多の衣服に手を掛ける。
滅多にしないその行動が嬉しくてキスをしたまま目を開ければ、濡れた瞳とかち合う。
そこには普段どんなに快楽に溺れても消えない羞恥や躊躇いの色も皆無で。
御堂がここまで余裕なく本多を求めるなど、やはり常の彼ではない。
本多は一度口付けを解く。
「御堂さん、今日のあんた、変だぞ・・・なんか、あったのか・・・?」
声に出してみて実感する。
いつもは恥らって戸惑って、最低限の欲求しか見せようとしないのに・・・いまの御堂はまるで別人だ。
自分の電話中に何か彼の心情を揺らすような事があったのだろうか、と、漸くまともな原因を思いつく。
口付けを止められた御堂は不満げに眉を寄せながら、自由な上半身を本多に摺り寄せた。
「っ、みどうさん・・・!」
淫らな動きに本多の息が詰まる。
「んっ・・ぁ・・、ほんだ・・、早くお前が・・ほしいんだ・・・」
「っ・・・!」
この人がこんな風に求めるなんて幾らなんでもおかしいと欲望に掛かっていた懐疑心のブレーキは、色香の滴る御堂の声で勢い良く弾け飛んだ。
「く、そっ・・・責任、とってもらうからな・・・っ」
本多は低く呻き、噛み付くように唇を奪う。
抵抗など一切せず、それどころか歓迎するようにそれを受け入れた御堂の手が動くのにまかせて今度は素直に衣服を床へ落として行く。
逞しく鍛え上げられた上半身を露わにされると、本多は御堂の腰を引き寄せた。
形よく引き締まった白い双丘に手を掛けて割り開く。
そのまま、慎ましく口を閉じた淫らな孔を指で撫でるが、濡らすものが無い。
唾液では心もとないし、この状況で寝室に行って取ってくるのも興醒めだ。
すると一瞬の逡巡を読み取ったのか、やや思案顔の本多に御堂が艶然とした笑みを見せた。
そしてするりと本多の身体を撫でながら形の良い指を滑らせて。
なんと、硬度を帯び始めた本多の性器に手を添えて自分の秘孔に導いた。
「ちょ、っと待った・・っ、いくらなんでもいきなりは無茶だって・・・!」
本多が驚愕してその手を止める。
何のつもりかと見上げた先で御堂は挑戦的とも言える、しかし、溢れるような色香を纏わせた表情で唇を吊り上げた。
「濡らしたいんだろう・・・・?なら、こうすればいい・・・」
そう言って、本多のモノを固定したまま腰を揺らし始める。
先端に、自らの会蔭から蕾を擦らせるようにして。
「んっ、あぁっ・・・ふ、んぅ・・・・っ」
片手で本多の男性器を握り、片手を彼の方に置いて卑猥に腰を動かしながら、自らも性感帯を刺激されて御堂が甘い声を上げる。
常の御堂から考えれば明らかに異常だ。
だが同時に尋常でないほど扇情的なその姿が堪らなくて本多は呻いた。
「っ、やっぱおかしいぞ、あんた・・・っ、でも、最高だ・・・っ」
本多も自ら雄の先端を御堂のそこに擦り付け始める。
添えられた御堂の手が手淫するように動き出すと、先端を擦られる快感と相俟って、先から透明な液体が溢れてきた。
「んっ、ふ・・っ、ぬれて、きた・・・・あっ」
「あぁ・・御堂さんのも、濡れてる、ぜ・・・っ」
2人の動きに粘着質の音が混ざる。
本多の先から塗りつけられるものと、御堂から溢れて伝い落ちてくるものと。
淫らな音に煽られるように二人の動きが激しくなる。
「はぁあっ、あっ・・んぅ、ふ・・・はぁ・・っ、」
敏感な会蔭と秘孔の入り口を刷り上げられる快感に耐え切れず、御堂が本多の雄から手を離し、本多に縋りつくように上半身を預けた。
それを合図に本多の大きな手が御堂の尻を割り開く。
ヌラリと体液を帯びて淫靡に光り、刺激を欲するようにひくつく蕾に先走りを塗りつけるようにして指を差し入れた。
「っ、んぅ・・・!」
首裏で腕を交差するようにしていた御堂の手が本多の背中を軽く爪を立て、膝を立たせたままの白い内股がピクンと震える。
異物感に緊張する御堂の気を逸らそうと、彼が半身を倒したことで目の前に近づいた御堂の胸の果実を吸い上げる。
「あっ、ふ・・・」
白い背が僅かに撓る。
自然それを本多に押し付けるようになって、敏感なそこに感じる舌の感触と吸い上げられる刺激に御堂の意識が流れた。
唾液を絡ませるようにねっとりと舐め上げてから音を立てて吸い上げる。
同時に、挿しいれた指を根元まで滑り込ませた。
「ひぁっ・・・あ、ぅ・・・は、ぁ・・」
胸への愛撫と体内に埋められた指の動きを混ぜられ、御堂の中で快感と不快感の境界線があいまいになっていく。
両の飾りが唾液に塗れてぷくりと立ち上がり、魅惑的な紅色を晒すころには、御堂の秘孔は本多の指を三本深く咥え込んでいた。
前立腺を刺激される度御堂の欲望が狂おしいほど煽られる。
その先の淫楽を知る彼の身体は更なる刺激を求めて卑猥に腰を揺らして男を煽り始めた。
「あぁぁっ、あっ・・・ふ、はっあ・・、アッ、ほ・・ん、だ・ぁ・・・っ」
御堂は腰を自ら上下させ深く指を咥え込もうとするが、指は指の長さしか持たない。
淫らに喘ぎながら腰を振っていた御堂は中途半端な快感に焦れ、本多の肩に手を置いて入らない力を無理矢理入れると腰を上げて指を引き抜いた。
反応が遅れた本多の雄を御堂の指が絡めとる。
「みど・・・っ」
予想だにしなかった行動に本多が目を瞠るのと同時に、御堂は自らその体内へ本多を埋めていた。
「っ、あっ、ひ・・・あぁぁっ・・」
ずぶずぶと内壁を割り開くようにして押し入ってくる剛直に御堂が背を撓らせながら声を上げる。
苦しげに眉は寄せられているが、硬く立ち上がったままの御堂の性器が、苦痛だけを感じているのではないと如実に物語っている。
自身の感じる圧迫感にも動きを止めることなく、本多のそれを受け入れて行く。
途切れ途切れの息と強張りながらも淫らに揺れる身体、滴る汗と立ち上る欲望の香り。
本多が我慢できたのも、そこまでだった。
「っ、今日のあんた、心臓に悪すぎる・・・!」
言い様、華奢な腰を掴んで、有無を言わせず突き上げるようにして性器を根元まで押し込んだ。
「ひあぁぁぁ・・・!!」
ずん、と奥を突き上げられた瞬間、御堂が欲望を爆ぜさせた。
腹部に感じた熱い飛沫に、しかし本多は動きを止めるどころか激しい突き上げを始める。
「ぃ、あぁぁっ、あっ・・ふっ、あぁっっ・・・ひ、ぅん・・・!」
射精直後の、しかもまだ絶頂から抜けきらない身体を責め立てられ、全身を貫く激しい淫楽に御堂が甘い悲鳴をあげる。
だがいつもならば掛かるだろう制止の声は無く、本多が欲して已まない艶やかな啼き声も噛み殺されずに響き渡る。
本多の身体に縋るようにして快感に啼き悶える御堂のあられもない姿は彼の普段の姿からは勿論、
いままでの情事の際に見せてきた姿からも想像できるものではなく、本多は煽られるまま御堂を揺さぶった。
「っ、はっ・・あぁっ、ッッ、んぅう・・・ふ、あぁぁっ!」
リビングで抱き合った後移動したベッドの上。
本多は、うつ伏せの姿勢で腰を高く上げ貫かれて嬌声をあげる御堂を収まらない情欲に呑まれるまま突き上げる。
二度奥に放った精液が抽送に掻き出されて御堂の会蔭と内腿を汚して行く。
ぐちゅっぐちゅっと淫猥極まりない水音が、御堂の喘ぎ声と肉のぶつかる音に混ざる。
「ひっ、アッ、っ・・ぅ、ほ・・だ・・っほんだぁ、あぁっ・・・!」
シーツを握り締めて善がり悶えながら御堂が本多の名を艶声に乗せる。
今日の御堂は一度も本多に制止や拒否の言葉を投げない。
それに、もう一度と強請ったのも彼だった。
ホントにいいんすか、と聞いた本多に、もっとお前が欲しいんだ、と御堂は切なげに答えて。
その後は、回数を重ねることに了承を取らなかった。
どうかしてると思いながらも止めることはできいない。
上司としても男としても完璧な彼だから。
普段は手に届かない高みで凛と輝いていて眩しくて。
それが御堂孝典という、本多が恋し愛する人ではあるのだけれど。
でも、彼は完璧すぎて、時々、自分が一番近くに居るのだという実感を見失う時がある。
2人で居るときに見せてくれる表情だとか感情だとか、幸せだけれどでも、それだけでは埋められない寂寥感に襲われるときが。
セックスの時、素直に感じてくれない御堂の頑なな態度に満たされずに燻るのはその感情だった。
2人の距離が一番縮まるその時にもまだ、距離を置かれている気がして。
でも今日の御堂は。
本多は繋がったまま、御堂の身体を反転させた。
仰向けになった御堂の脚を限界まで左右に開いて深く深く穿つ。
「ひあぁぁっっ、あっ、ふ・っ、は・・っっ」
シーツを掴んでいた御堂の手が本多の背中に縋りついた。
「みどぉ、さん・・・っ」
御堂の様子は普段通りではないけれど、これが隠し立てない御堂の姿だとしたら。
本多の何処かに陰を落としていた感情が溶けて行く。
「愛してます・・っ、みどうさ、ん・・・!」
思いの丈をぶつけるように、本多は御堂を貫いた。
爽やかな朝日の差し込むベッドルーム。
朝一番に響いたのは、目覚ましの音ではなくて
「ぃってぇえええ!!」
本多の悲鳴と
「貴様っ、私に何をした!!!」
御堂の怒声。
実に完璧な紅葉の刻印を頬に刻んだ本多は容赦の欠片もないそれが齎した痛みに涙を滲ませながら、
手を振り上げたことで全身が痛んだらしくベッドに沈んだ御堂の刺すような視線を受け止める。
「な、なにって、御堂さんが誘ってきたんすよ!?」
「なんだと!?」
「覚えてないんすか!?シャツだけ羽織ってあと全裸で“本多、はやく欲しい・・・”って」
「だれが覚えていないと言った!!私に何をしたかと聞いたんだ!!」
「何って、セッ」
「そうじゃない!!」
「じゃあなんすか?!」
「私が素面であんなことをすると思っているのか!!」
「酔ってたんすか!?」
「違う!!」
「じゃあ何だっていうんですか!」
「貴様が何かしたんだろう!!」
「してねぇっての!!!」
噛み付き合うような応酬で無駄に息を切らして睨み合う。
顔を紅潮させて「屈辱」というのを絵に描いたような表情で睨み上げてくる御堂に、ふいに本多から力が抜けた。
覇気が抜け落ちたように本多が突然寂しそうな表情になり、さすがの御堂もその変化に胸をざわつかせる。
「本多?」
訝しげに声をかければ、ふいと目を逸らされた。
「嫌でした?」
「何?」
「俺に抱かれて昨日みたいに乱れるの、そんなに嫌でしたか?」
「・・・」
羞恥心とかそういう感情を基準に言っているのではないと御堂も気付いて口を噤む。
ちらり、と本多が御堂を一瞬だけ見る。
その視線はすぐに外されて、シーツに落ちた。
「俺、嬉しかったんすよ・・・御堂さんに、誰にも見せない部分を俺にだけ見せるんだって、そういう相手だって、思って貰えてるみたいで・・・・。」
ぽつりぽつりと言う本多に普段の覇気はない。
本多が言い終わると、少し前まであれほど賑やかだった寝室に沈黙が降りた。
時計の秒針の音だけが響く。
遣る瀬無くて、この場から逃げてしまおうかと本多が思った時。
ベチッと。
本日二度目の平手打ち。
「ッッ〜〜〜!アンタなぁ・・・っ」
流石に激昂した本多だが、漸く合わせた視線の先に御堂の真摯な表情を見て台詞を飲み込んだ。
本多を射抜くように睨んでくる御堂の瞳は怒っているような切なげに歪んでいるような自責しているような、複雑なそれで。
「御堂、さん・・・?」
「私が“誰にも見せない部分”はどこまでだ?」
「え・・・?」
「感じるまま、あられもない嬌態を晒すところまでか?」
じっと見つめてくる御堂の落ち着いた声音が、波立つ本多の感情に穏やかな波紋を広げる。
「声を耐えながらセックスする所までは君以外の誰かにみせると?君と過ごすようなプライベートな時間を他の誰かとも過ごしているか?私は」
「いい、え・・・・」
静かに見つめてくる御堂の視線を受け止め切れなくて本多は俯いた。
「人の性格を考えろというんだ・・・やりたくても出来ることと出来ないことがある・・・」
沈黙の後ぽろりと零れた台詞は直前の言い方と趣が全く違って、思わず顔を上げる。
途端、御堂がくるりと寝返りをうって本多に背を向けた。
掛布から覗く首筋と耳元が真っ赤で。
「みど・・」
「うるさいっ」
「やりたくてもって」
「黙れっっ」
直後本多は不器用な恋人によって寝室から蹴りだされた。
身体の重さと腰の痛みでベッドに沈みながら昨夜の痴態と先ほどの自分の発言を思い出して顔を真っ赤にしていた御堂は、
リビングで柘榴を拾って原因に思い当たった本多が「これもう一回使えたりすんのかな」と呟いていたことをしらない。
ご、ごめんなさい・・・なんか色々カオス・・・・・・orz
エロシーンもブツ切りで・・・・もごもご。。やっぱ本ミドで誘い受けはハードルが高すぎた・・・・・田中さんごめんなさい(土下座)