「うわ、タクシー乗り場すごい人っすよ」
横を歩く本多の声で、携帯で話していた御堂がそちらへ視線をやる。
本多の言った通り、夕方、まだ電車も動いている時間だというのにタクシー乗り場は長蛇の列になっている。
駅から聞こえるアナウンスによると、一路線、人身事故で運転を見合わせているらしい。
本多と御堂は同時に腕時計を見た。

「まずいな・・・」

六時から大口の取引先主催のパーティーが有る。
今終えたばかりの商談が少し延びた為、タクシーが必要なのだが・・・。
眉を顰める御堂を見た本多は手早く携帯を取り出した。
「あ、御堂さん、今○○線に乗ればギリギリ間に合いますよ!」
どうやら乗り換え検索をしていたらしい本多は、言うが早いか御堂の腕を取って走り出した。
「おいっ」
「あ、悪ぃ!でも走るぜ!」
短い抗議で素直に手を離したは良いが、相変わらず大きすぎる声で駆け出す本多に視線が集中する。
御堂は半ば呆れながら、彼の後を追いかけた。

『12番線ドアが閉まります、ご注意ください』
「!!」

エスカレーターを降りきるかどうかというタイミングでアナウンスが入った。
御堂は反射的にスピードを緩めたのだが、本多は逆だった。

「乗るぞ!」

「は!?おいっ!」
足を止めそうになった御堂の腕を掴んで強引に車内へ引きずりこんだのだ。
一旦閉まりかけたドアが一度開き、御堂が入った直後に閉まる。
中は超満員。
無理やり押し入ってきた長身の二人に物言わぬ非難の視線が集まる。
『お客様にお願い申し上げます。駆け込み乗車は大変危険です・・・』と機械的なアナウンスがタイミングよく流れたときには、
御堂はもう電車から飛び降りるか、目の前の男を電車から突き落とすかしたい気分だった。
「す・・・すんません・・・」
睨み上げる御堂に本多が気圧された様に謝る。
引っ張り込まれたために自然、本多に抱き込まれる形になっていた御堂は、不機嫌そうに本多を押しのけると彼に背を向けドアに張り付く格好に体勢を直した。

しかし、すごい混みようだ。
帰宅ラッシュに他社線の人身事故が重なったせいだろう。

本多は電車に慣れていないだろう御堂を人の壁から守るように踏ん張った。

発車間際に駆け込んだのは予定外だったが、下手に早く乗り込んで人の真ん中で御堂がもみくちゃにされる位なら、
少しくらい彼に睨まれようとも駆け込み乗車をして良かったと本多は内心ホッとした。
御堂の前にドアしかないなら、本多が彼の顔の両側に腕をついて突っ張っていれば、揺れで人の波が襲い掛かってきても自分で食い止めることが出来る。
意地っ張りな恋人はそれを言えば余計な世話だと怒るだろうが、毎日自動車通勤な上にセレブな独身貴族は満員電車耐性など持っている筈もない。

密かに守ってやってる俺のことも少しは気にしろよな、と思いながら本多はしかし柔らかく笑った。

「・・・ッ」

御堂が一瞬息を詰めたのに本多は気づかなかった。


(耳元で息を吐くな・・・!)


御堂はドアのガラスについた指に力を篭めた。
自分に覆い被さる様に立っている本多の息が耳に当たって、気になって仕方ない。
耳が弱い自覚はある。
特に、本多の声に弱い。
通りの良い低音が間近で鼓膜を震わす時、熱い息遣いが耳を掠める時、どうしようもなく身体に熱が生まれる。

ベッドの上ならばまだいい。
だが、今は、電車の中だ。

しかしだからといって止めろという訳にもいかない・・・そんな事をしたら、耳元で息をされて感じていると自己申告するようなものだ・・・・断じてできない。

耐えるしかない・・・そう思ったときだった。
「この分なら間に合いそうですね。」
「ッ・・・!」
電車内であることを気にしてか、低く抑えた声で本多が御堂に囁いた。
先程の停車で反対側から人が乗った為に距離は更に詰まって、耳に唇が触れそうだ。
「凄い人だけど、大丈夫か?」
もうしゃべるな、と念じる御堂に反して本多は話し続ける。

しかも、御堂を案じる本多の声は常よりも優しく甘い色を帯びていて・・・。

確実に頬が熱を帯びている。
御堂は舌打ちでもしたい気分だ。
「あと10分で着くから、それまで頑張ってくれ、な?」
御堂が己の声で感じているとは知らない本多は構うことなく囁く。

御堂は黙って耐えているのだが、本多は応答がないことに少し首を傾げギリギリまで唇を近づけた。


「御堂」
「―――!」


耳に口付けんばかりの位置で己の名を呼ぶ低く甘い囁き。
ゾクッと、御堂の背筋を明らかな快感が走り抜けた。
「御堂?」
いつまでも返事をしない御堂に本多がもう一度囁く。
「うるさい黙れ、聞こえている。」
御堂が耐え切れずに発した早口が本多には邪険に聞こえたのだろう。
後ろから不満げな声が飛んでくる。
「なんだよ、心配してるっつのに。」
ぶすくれたその声さえ御堂には不健全な反応しか齎さない。
頬に上る熱と、誤魔化しようもなく上がる心拍数。
御堂は奥歯を噛み締めて、一刻も早く電車が目的地に着くことを祈った。

そんな状態だったから、次の駅で御堂の側のドアが開き冷気が入り込んだのは御堂にとって幸いに思えた。

だが・・・。

「ッ、」
乗り込んでくる人、人、人。
もう乗れない筈の車内に無理やりに人が流れ込んでくる。
まさかこれ以上乗ることはしないだろうと思っていた御堂は無理やりに押され流されて中央へ運ばれる。
「御堂・・・ッ」
人の波に飲まれて離れそうになった御堂を逞しい腕が捕まえ、包み込んだ。
初めて体験する満員電車の惨状に半ば呆然としていた御堂は腕の中に納まっても暫く己の置かれた状況に気づかなかった。
漸く、衆目の中で本多に抱きしめられていると認識したときには電車のドアは閉まり、もう数ミリも身動きが出来ない状況で。
「おいっ、本多・・ッ離せ!」
「無理っすよ、足が全然動かせない・・・それにアンタ一人じゃキツイだろ。」
「だが・・・ッ」
確かに本多の言う通り、足元は靴靴靴・・・隙間なく密着した人の足で、動かす余裕などない。
それでも身体が密着している上にやはり耳の位置に本多の唇があり、非常に都合が悪い。
御堂の抵抗の理由を抱き合うようなその体勢を電車の中で取っている事だと理解した本多は安心させようと口を開いた。

なるべく周りに聞こえないよう声を低く潜めて。

「大丈夫だって・・・満員だから仕方ないって思うし、誰も気にしないって。」
「〜〜〜っ!」


(私が気にするんだ・・・!!!)


正面から抱き合った状態にあるせいでダイレクトに本多の低音が耳を刺激する。
御堂はもう、何を言うことも出来ずに顔を背けるしかなかった。

背けられた耳は傍目にも分るほど朱を帯びていたが、車内が暑いのと体勢に照れているせいだろうと本多は微笑ましく思っただけ。


公共の場で御堂を抱きしめていられる役得に小さな幸せを感じる本多の腕の中で、御堂はもうどうにかなりそうだった。




耳元に感じる息遣い。


密着した首筋から立ち上る本多の匂い。


スーツを通しても感じる体温。


自分をがっちりと支える力強い腕。




身体が分りやすい・・・そして密着したこの状況では何としても避けたい・・・反応を示すのは時間の問題。
御堂が観念して目を瞑った時だった。

『××〜××に到着です。電車とホームの間が広く開いております、お足元にご注意の上・・・』

「御堂、ついたぞ」
半分聞き流したアナウンスと共に車内に冷気が流れ込み、ぐいと腕を引かれた。
「!」
本多に引っ張り出されるようにして電車を降りる。


頬の火照りを冷気が拭い去り、助かった、と御堂は心から思った。




その時は。













(今日は厄日か・・・・?)

傍らに立つ男の存在に緊張しながら、御堂は頭の中で運命の女神を忌々し気に罵った。
都内のホテルで開かれたパーティーは招待客の数に比して会場が狭く、立食形式が取られた会場は食事を食べる人とボードへ取りに行く人がひしめき合っていた。
入り口近くで主催企業のお偉方に捕まった二人は、動こうとするたびに他の人間に捕まって、一番混みあうその位置から一歩も動けないでいる。
しかも、会場内はBGMとアナウンスと人の話し声でかなりの喧騒だ。

自然・・・。

「御堂さん、さっきの人は四つ越しデパートの仕入れ担当ですよね?」
「っ、あ、ああ・・・。」
聞こえるようにと、本多の唇は御堂の耳元に寄っていた。
それに、先程から、御堂が動く人に当たらないようにとさりげなく本多の大きな手が背に添えられている。
背というか、腰に近いような、微妙な位置に。
そして後ろをグラスをトレイに載せたウェイターやウェイトレスが通ったりするたびに優しく押してぶつからないよう御堂を庇うのだ。

「あ、こっちに来るの、北洋物産の田中部長ですね。」
「さ・・・」

(囁くな・・・っ!)

「さ?」
「・・・なんでもない」

つい漏れそうになった内心の悲鳴をごまかし、取り繕う。
それから何度も、何かあるたびに、本多の低い声が耳を刺激し、熱い手を腰に感じて、
御堂は身体を這い上がってくる熱に焼け落ちそうな理性をなんとか踏みとどまらせようと努め続けた。

本多は相変わらず御堂の様子に全く気づかない。


完全に自分だけが欲情している。
相手に全くその気がないという状況で。

屈辱的なのに身体の熱は収まらず、御堂は正直、パーティーどころではなかった。


自然、周りへの注意も散漫になる。
背中に衝撃を感じたのはそのときだった。
「っ、」
「あ・・・!」
人の間を縫って移動しようとした誰かが御堂の背にぶつかり、彼の足がよろける。
その正面にはワイングラスが並んだトレイを持ったウェイトレス。

ぶつかる・・・!

そう思った瞬間、本多の手が伸びた。
逞しい腕が御堂を捉える。



だが期せずして、片方は胸を、もう片方は臀部を掴んだ。




「んぅ・・・ッ!」




胸のしこりを押しつぶされ尻を鷲掴まれた刺激に、御堂の唇から意図せぬ間に悩まし気な声が上がった。
喧騒と咄嗟のことで耳に入らなかったのか、本多は全く気付かずにその体制のまま、謝るウェイトレスに対応する。
御堂の胸を押しつぶし、尻を掴んで、腕に収めたまま。
胸と尻から走った性感を煽る耳元の低音と己を包む体温。


もう、限界だった。


「来い」

やおら本多のネクタイを引っ掴むと、御堂は刷き捨てるように言って会場から本多を引き摺り出した。
「ちょ、お、苦し・・・ッ」
会場を出ると同時にネクタイから手を離し、振り返ることなく歩く。
後ろから文句を言う声が追いかけてきたが内容など関係ない。
とりあえず本多が着いてきていればそれでいいし、御堂には内容を吟味する余裕などなかった。
「おいっ、どこ行くんだよ御堂さん!」
バンケットホール前の広いロビーに響かぬように声を若干抑えながら前を歩く彼に声をかけるが、無視される。
それでも放って置く訳にも行かず、先程引っ張られてひん曲がったネクタイを直しながら追いかける。
やっとそれが直ったとき、御堂が突然立ち止まった。

疑問を投げる間もなく白い手が再びネクタイに伸び・・・

「ん、何っ、て、ぐぇえっ」

傍らのドアに引きずり込まれた。
つんのめるようにして入ったそこは男性用トイレ。
しかし高級ホテルらしい豪華な内装を確認する間もなく、ネクタイ一本で制御された身体は個室へと、まさに投げ入れる様に押し込まれる。

御堂は目を白黒させる本多に構わず個室の鍵を掛け、両手で本多の胸倉を掴んで個室の壁に叩きつけるように押さえつけると、噛み付くようなキスをした。

「ぐぅ・・・っ、ん、ッ」
ガチンと歯がぶつかり、鉄の味が広がる。
もう、その味にさえ、野獣のように欲情する。
御堂は悩ましげに眉を潜め目を瞑って、むしゃぶりつくようにキスをした。
「ふっ、んぅ・・・はっ・・・・ぁむ・・ふ、は・・・」
大きく口を開けて、まだ反応できずにいる本多の唇を食むように味わう。
舌を引き摺り出して絡め、吸い上げ、唇を甘噛みし、唾液を吸い上げて。
徐々に熱を上げてくる本多の息に、眩暈を覚えるほど興奮する。
無心に本多の唇を貪りながら御堂は無意識に下半身を本多に擦り付け始めていた。
電車の中からずっと煽られ続けて燻って、ついに燃え上がった欲望が暴走している。
それを知らない本多は突然の御堂の豹変に未だ着いていけずにいたが、御堂はそれを気にする余裕もない。
引き剥がすように本多のスーツに手を掛けてジャケットから剥ぎ取っていく。
その間も下半身は欲情するままに蠢き続ける。
「んっ・・・んっ、あ、はっ、んんぅ・・・ん・・・・・ッ」
淫靡な声に唾液の音が絡みつく。
シャツまで肌蹴け終わった本多の肌に手を滑らせ、御堂は熱い吐息を漏らした。
食むようなキスを漸く解き、完全に露になった本多の逞しい首筋に鼻を埋める。
鼻腔を満たす本多の体臭が全身を甘く痺れさせた。
「ふっ・・・は・・・」
半ば恍惚としながら、御堂は首筋に噛り付き、本多のベルトを外し始めた。
「みどぉ・・・っ」
本多が苦しげな声を漏らす。
漸く状況が飲めたのだが、何故だか分らないが未だ嘗て見たことも無い程欲情した御堂に煽りに煽られて既に彼を止められる状態にない。
とりあえず我を失ってさえ見える御堂に僅かなりともブレーキを掛けたいのだが、御堂がスラックスを下着ごと引き摺り下ろすほうが先だった。
露にされた本多のそれは、御堂の狂態とも言えそうな痴態に煽られてしっかりと頭を擡げている。
それを見たアメジスト色の瞳が妖しい光を帯びる。

「っ、おい、まさか・・・」

身体を本多に沿わせながらゆっくりと身を沈める御堂を本多は慌てて止めようとするが、
その手は敢え無く御堂に振り払われる。
御堂はうっとりとさえ表せそうな表情で力強く立ち上がる熱棒に頬ずりすると、おもむろにそれを飲み込んだ。

「は・・・っ、御堂っ、やばいって・・・!」

白く細長い指を血管の浮いた屹立に沿わせながら唾液の音を響かせて先端を口で愛撫する。
本多の感じるところを的確に刺激してくる口淫に、御堂を止めようと彼の頭に添えられた本多の指も既に彼の柔らかな掻き回すだけで用を成さない。
「んっ、んっ・・・ふ、んぅ・・・は、ふ・・・」
舌で舐め、口膣で擦りあげ、喉で締め付け、吸い上げる。
逞しい幹を伝う唾液と先走りが指に絡みつくのを感じると御堂はそれをいつの間にか露にした己の後ろへ伸ばした。
その動作を見ていた本多が息を呑む。
まさか、と、本多が思ったのが早いだろうか、御堂の指はそこに絡んだ粘液を蕾に擦り付けるようにしてからツプンとそこへ滑り込んだ。
「んんぅっ・・・!」
本多の剛直を咥えこんだ口から悩ましげな呻き声が漏れる。



誰が入ってくるとも知れないホテルのトイレの個室で襲うように自分を貪る程欲情した御堂と、凄艶なその姿態。

普段ならば絶対に見せないだろうその姿が、背徳的なシチュエーションが、己の肉棒を吸い上げる御堂の口の感触が、
個室に響く艶声が、自ら己を拓く御堂の狂態が、本多の欲を爆発させた。



「っ、・・・?!」
突然顔を引き剥がされ、腕を取られて身体を反転させられ・・・数瞬の間に御堂は本多に後ろから壁へ押し付けられる体勢になっていた。
そして、自ら拓こうとした秘孔に、滾る熱の感触。
「ん、あっ・・・」
それだけで全身を駆け抜けた快感に喘ぐ御堂の耳元に熱を帯びた本多の唇が当たる。
「いくぜ」
低く甘く、そして野獣のように獰猛な声が直接御堂の耳を犯す。
御堂は背を撓らせ、個室のドアに爪を立てて悶えた。
その直後。

「あああッ・・・・!!」

熱の塊が未だ開ききっていない狭い入り口を割り拓いて押し入り、御堂は甘い悲鳴を叫び上げた。
もう、己のいる場所がどこなのかなどという事は、御堂の頭から抜け落ちている。
だが本多は僅かでも理性が残っていたのか、その唇を大きな手で塞いだ。
「んんぅ!」
苦しいと御堂から抗議の声が上がるが、それ以上の理性は本多に期待するべくもなかった。
散々一方的に煽られた反動を返すかのように抉り突き上げるような激しい挿入を繰り返す。
ドアにすがりつきながら体勢を崩す御堂の口を塞ぎ、片手で腰を支え、引き抜いては突き刺すようにして、しなやかで淫乱な身体を揺さぶった。
「んっんっ、ふっ、はぅっ、んぅ、うっ、ん!んんん!」
柔らかな髪を遊ばせ、額に貼り付けながら御堂が激しく悶える。
ガタガタと激しく音を立てる個室のドアを気にする余裕を持つものはいない。
ちょうどパーティーが佳境で、奇跡的に誰もトイレに立たなかったことを後々感謝することになるだろうが、今は当然、そんな思考も皆無だ。
本多は御堂の身体を抱え上げてドアに張り付かせるようにすると、腰を支えていた手を離して胸へ移動させる。
まだしっかりと着込んであったネクタイを引っ張り出し、強引にシャツの中ほどのボタンを外すとそこへ手を忍び込ませてピンと立ち上がった乳首を抓り上げた。
「んふぅ・・・!」
ビクンと御堂の身体が撓る。
本多はもっと身体を密着させ、真っ赤になった耳を甘噛みした。
「んぅ!んんっんっ、ふ・・・はぅ・・・っ」
「イイか?御堂・・・」
情欲の乗ったオスの声を吹き込まれ、御堂は身悶える。


そう、この声のせいだ。

今日おかしくなったのは、皆・・・。


耳を・・・性感帯を震わせる、この、低音の囁きのせい・・・!


御堂の身体を脳髄まで、快感が貫いた。
「はぁぅ・・・ッッ」
背がぐんっと弓なりに反り、本多の手が口から外れる。
絡みつき絞り上げる内壁の動きと淫猥な御堂の痴態に狂いそうになっていた本多ももう口を押さえる余裕はない。
逞しい手で御堂の細腰を鷲掴み、強烈な突き上げを始めた。

「ああぁっ!!ああっ、ひっ、アッあっ、は、ふっ、ぁアッッ」


御堂はただただドアに縋り付き、快感の渦の中で踊り狂う。


「イく・・・ッ」





呻くような本多の声が耳を震わせ、御堂は白濁を放った。











「いえ、こちらこそ浜野部長には大変お世話になっております。」

グラスを片手に、完璧な営業スマイルを浮かべて柔らかな受け答えをする御堂の涼しげな顔を本多は笑いを堪えながら盗み見た。
理性の塊のような顔をしたこの男が、先程まですぐそこのトイレで悶え狂っていたなどと誰が想像できるだろうか。
いや、だれも想像できないだろう。

己の声にどうしようもなく感じたのだと半ば八つ当たりのように言ってきた御堂の子供じみた顔も、野獣のような獰猛な発情の仕方も、娼婦のように妖艶な嬌態も。
この端麗な顔に隠されたものを知るのは、自分だけだ。



本多は口笛でも吹きたい気分で、すっかりもとの顔に戻った御堂とパーティーの残りの時間を過ごした。













ユキル様から40000HITリクエストで頂きました「本御で“性感帯”」でしたwww
個人的な趣味で性感帯は耳になり、御堂さんは一人で発情して襲うように本多に抱かれましたが、いかがでしたでしょうかwww
たまにはこんな部長もいいかな〜と思ったのですがw
御堂さんって解き放たれると凄いと思うんだ。